真夜中の電話
2009年 11月 03日
すっかりご無沙汰しておりました。この間世間ではハローウィンやらオバマ大統領の当選から1年など、色々とこちらでご紹介したい出来事がたくさんあったのですが、一時帰国準備に追われてブログを更新する時間が取れずにいました。ひょっとすると「なんだよitoaki~、挨拶なしに日本に帰っちまったのかよ~」と思われていたかもしれません。実は今回の一時帰国中にワークショップでコメンテーターをすることになっていてるのですが、その報告者3名の事前原稿を読んでコメントをひねり出すのに四苦八苦しておりました。いや~、自分で報告する方がずっと楽です!さらに毎度毎度一時帰国のたびに悩みのタネなのが、日本の家族や友人たちへのお土産選び。アメリカにある物は大抵日本でも手に入るし、日本の物の方が品質が良いし、何を買ったら良いのか本当に頭が痛いです。私の場合、itoaki母が「××さんにはいつもお世話になってるから、ついでに何か買ってきてもらえる?」などと気軽~に言ってくれちゃうもんで、結構な数になるのです。そんなこんなで今回お土産購入のためかかったのが総額600ドル、これだけあれば日本であんなものを食べたり、こんなものを買ったりできるのですが・・・(涙)。
さらに、ただでさえ一時帰国の準備でバタバタしていた先週末に、義家族(itoaki夫の家族)に大事件が起こりました。事件の始まりは先週金曜日の深夜3時ごろ。itoaki夫はすっかりベットで夢の中、私は一人でPCに向かって仕事を片付けていると、こんな夜中に私の携帯電話が鳴ったのです。着信を見ると「Unknown」の表示で、咄嗟に日本の家族から緊急の要件だと思いました。でもすぐに電話を取ってみると、聞こえてきたのは日本の家族ではなく、なんとitoaki夫の末弟、義弟Mの声。「何でこんな夜中に私の携帯に電話を???」と驚いてしまいましたが、すぐにあることを思い出しました。その時義弟Mは婚約者Jと婚約者Jの母と3人で、インド旅行の最中だったのです。
私が電話に出るやいなや、義弟Mはとても興奮した様子で「やった!電話に出てくれた!itoakiなら出てくれると思ったよ!」とかなりの早口でまくしたてます。義弟Mはいつも穏やかな口調なので、これだけで何やら尋常ではないことが分かります。かなり騒がしい所から電話をかけてきているのか、周囲の物音が聞こえる上に、回線状態も良くありません。先ずは興奮する義弟Mを少し諌めるように、「少し落ち着いて。電話がかなり聞こえづらい。ゆっくり話してくれないと聞き取れないよ」と話かけました。途中何度も雑音が入り、途切れ途切れになりながらも義弟Mが話してくれた内容というのが・・・
「自分たち3人は今、ジャイプールという街にいる。昨日ニューデリーから車をチャーターして移動してきたところ、夜7時半ごろ近くの石油精製工場で大きな爆発事故があった。死者、負傷者が多数でている。現在も大規模な火災が続いていて、自分たちのいるホテルの周囲にも避難命令が出たが、警察から外国人客はホテルから一歩も出ないように言われている。でも火災のために停電が起こっていて、ホテル内も停電、水も出ない、電話も不通・・・」
予想もしていなかった事態に、ただただ驚いてしまいました。びっくりして義弟Mに「それでみんな無事なの?大丈夫なの?」と尋ねると、「うん、みんな無事だよ」と答えてくれたものの、その声が少し涙ぐんでいて・・・思わず私ももらい泣きしてしまいました(涙)。義弟Mは続けて「今ニューデリーからアメリカ大使館の職員がホテルに滞在中のアメリカ人の安否確認にやって来ている。この電話も職員の人から形帯電を借りてかけている。他にもたくさんの人が電話を借りるのを待っているから、すぐに代わらないといけない」と言っていました。なんでも1人5分までと言われているそうです。最初はお留守番している婚約者Jのお父様に電話したみたいなのですが、真夜中のためか出てもらえず、次に思いついたのが私だったそうです。「日本からたくさん電話がかかってくるitoakiなら、こんな時間でも電話をとってもらえるかもしれない」と考えたみたいで、義弟M、良い勘してました。
義弟Mたちはニューデリーに戻るための車の手配をアメリカ大使館の職員にお願いしているものの、同じことを希望するアメリカ人が他にも多くいる上に、周囲の道路も警察当局に拠って封鎖されているため、いつニューデリーに戻れるかは全く見当がつかないようでした。最後に義弟Mは誰かに催促されたのか、慌てて「また電話できることがあったら、必ず電話する。婚約者Jのお父さんと僕の両親に電話して、3人が無事なことを伝えてくれる?くれぐれも心配しないように言って。」と言って、一方的に電話を切ってしまいました。携帯の画面を見ると、通話時間は6分少々でした。
私はその後一睡もすることができずに朝を迎え、中西部時間の朝6時半に義両親へ、そして義両親から電話番号を聞いて婚約者Jのお父様にも電話をかけました。義母は心配のあまり号泣、義父もかなり狼狽した様子が電話から伝わってきました。二人ともインドはもちろんアジアにさえ行ったことがないので、どうしても状況を悪い方へ悪い方へ考えてしまいがちです。婚約者Jのお父様は私からの情報がかなり断片的だったのと、私が義弟Mとしか話さなかったことにご立腹の様子でした。こんな事態ですから、感情的になるのは無理もないです。私とitoaki夫と言えば、またいつ義弟Mから連絡が入るのか分からなかったので、その後3日間どこへ行くにも何をするにも、どちらかが必ず私の携帯を見張って過ごしました。
義弟Mから再び電話があったのは日曜日の深夜、とっても弾んだ声で「今ニューデリーのホテルにいる!これで3日ぶりにシャワーが浴びられる!」と連絡がありました。思わぬ予定変更があったものの、3人は旅行を続行、当初予定通り今週金曜日に帰国予定だそうです。どうか3人の残りの旅路が無事でありますように。
# by itoaki08 | 2009-11-03 04:33